桑田次郎(二郎)先生訃報。代表作でありながら不幸な成り行きとなった8マンの影に、その他の作品が隠れた印象があるのか惜しい。くわしくは山本弘さんのここなど。https://t.co/iiDZujUZfD 職人芸としてはこの『完全脱獄』。名探偵ヴァン・ドゥーゼン教授の愛嬌あるくそジジイぶり、最高ですね。
かつてフィクションの世界は生々しい戦争と旧軍の記憶に満ちていた。終戦の年14歳で、完全に焦土と化した名古屋出身の河島光広の『ビリーパック』には特に色濃い。日米ハーフの少年探偵ビリーを「戦犯の息子」と悪質な誤情報を流した記事があったが、奇しくも『戦争論』のヒットと時期を接している。
昭和漫画館青虫蔵書。鈴木出版『ぐう ギャグ漫画ブック』所載の手塚治虫「漫画教室」(再録か?)から動物の描き方。これほどのノウハウを獲得し、それを惜しげもなく後進に明かす態度に驚く。
「はたらく細胞」がまた話題らしいが、となれば手塚治虫『吸血魔団』を。人間の体内を擬人化した例はあるし、人間がミクロ化して体内に入る話もある。だが、「ミクロ化した少年が、体内で結核菌の美少女と恋をする話」など誰が思いついただろうか。
手塚治虫『ロスト・ワールド 地球篇』復刻版より。このシーンなど見ると、映画それも「洋画」を紙とペンで再現できるという喜びが伝わってくる。これが後輩である藤子不二雄の二人となると、手塚のような「漫画」を描きたいという指向に変わっているような気がする。
なお、川崎のぼる先生『死神博士』の影三四郎探偵の、ふだんは金田一耕助で時に応じて明智小五郎になるという汎用性の高さは何度でも訴えていきたい。シリーズ化すればよかったのに。
若き日の手塚治虫やさいとう・たかをが「ペンと紙があれば映画が作れる!」と小躍りしたときの「映画」とは何を表わすものだったか気になっている。僕なども脳内の映画を写し取るつもりで小説を書いているが、どうもそれは今日的な意味の映画ではない。少なくとも庵野秀明、福田雄一監督作品ではない