徳南晴一郎『怪談 人間時計』
モラトリアム少年が陥る狂気の世界。
ストーリーも歪だが、何よりも絵が凄まじい。
1962年貸本漫画として発刊されたカルト中のカルト作品。
川崎ゆきお『恐怖!人食い猫』
この作品も悪夢的だな。
現実世界に嫌気が差した少女、ある日、学校をサボって入った喫茶店で猫の顔をした女を見る。後をつけていくとそこは猫の町で…。
やがて悪夢は現実に侵食死始める。現実が悪夢に。
果たして少女は自身のモラトリアムを克服出来るのか⁉︎
菅野修『筋子』
シュールな悪夢のような作品。
ストーリーは難解で、ひたすら死と死後のビジョンが描かれている。
巻末につげ義春から地獄の絵を描いてみてはどうかと勧められたエピソードが載っているが、菅野修の解釈する地獄とは悪夢的なものなのか。
「このマンガを、全世界の死者たちに捧げる」
笠間しろう『スーパーレディ魔子』
太田出版のモンドエロチカシリーズ第二弾。
笠間しろうの絵はバタ臭く洒落ていて、主人公の女の子も可愛い。
このモンドエロチカ復刻、あまりに売れなくて太田出版の屋台骨が揺らいだとかいう噂も。
『セクシー怪獣大暴れ』
ウルトラ怪獣にエログロと芸能ゴシップをたっぷり振りかけた、これぞ昭和三流劇画という内容。
読んでるだけでIQが低下していくようだ。
実に素晴らしい。
平田弘史『血だるま剣法』
一説に因ると元祖カルト漫画。
内容が差別にあたると抗議され、刊行から一ヵ月で回収・廃棄、2004ねんに復刻されるまで絶版だった。
兎に角、込められた情念が凄まじい。
鼻の穴のアップのコマとか、ちょっと他には見当たらないよね。
日野日出志『赤い蛇』
この作品も悪夢的。
全貌の分からない迷宮のような巨大な旧家。広さを調べようと外を壁伝いに歩くも、森に阻まれ何時間も彷徨ううちに元の場所に戻ってしまう。
そこで暮らすのは常軌を逸した家族たち。
そしてやがて惨劇が起こる。
山野一『のうしんぼう』
ガロを購読していた当時、山野一の漫画はイヤだった。嫌いではなくイヤ。
しかし、この作品は精神世界を描いた異色作で、これは抵抗なく読めた。
気がつくと田舎町でバスに乗っており「のうしんぼう」というバス停で降りる。帰りのバスは来ない。
山野一版『ねじ式』。
先の水木しげるは窓から尻を突き出すトイレを描いているし、蛭子能収の公衆トイレは小便を流すのに蛇口を捻るようになっており、つげ義春は廊下のトイレや二階から用を足すトイレを描いてる。
座敷にトイレがある夢は横尾忠則だったかな?
儂は風呂や温泉の夢は見るんだけどな。
つげ義春から始めたから、つげ義春とも親交の深かった水木しげるの『残暑』。
夢と謳った作品ではないのだけれど、そこはかとない不条理感が漂う作品。
ネタに詰まった漫画家が自転車を漕いで町を徘徊するだけの話だが、便意を催して馴染みの古本屋に駆け込むシーンとか、夢に出てくるような便所で。
『夢の散歩』は、自転車を押して歩く主人公と子どもを連れた奥さんがぬかるみで唐突にセックスを始める淫夢的な話で、夢的な不条理感が横溢している。
この漫画にはフキダシが無いんだよね。夢の中の、音や声を聴覚的な音声として把握していないような、あの感じを表すためだと思う。