(4/4)
「なに、みなが坐しても、銭の事やら、うまい物の事やら、いろ々々の事を考へて、心がどこにか飛んでしまつてゐる。そこを叩かれるから、吃驚りしてころげるのだ。」 
   (3/4)
「高野長英は、有識の士だ。その自殺する一ケ月ばかり前に、横谷宗与、これはおれの知人だが、この宗与の紹介で、夜中におれの家へ尋ねて来て、大いに時事を談論して、さて帰り際になつて、おれにいふには、拙者は只今潜匿の身だから別に進呈すべき物もないけれど、…」
 #勝海舟 
   (4/5)
「おれほどの馬鹿な者は、世の中にもあんまりあるまいと思う。故に子や曾孫に話して聞かせるが、よくよく不法者、馬鹿者の戒めにするがいいぜ。」 
   (3/4)
「貧乏の 徳利はたれか もゝとせの 有無のさかひに 咲やこの花」 見山(島田虎之助) 
   (2/4)
「地主の当主で岡野孫一郎というのが道楽者で、ある時揚代が十七両たまって、吉原の茶屋に訴えると言われて困っていたが、いつものことだから誰も世話をしなかった。おれは昨今越してきたばかりで事情を知らなかったから、金を工面して済ましてやった。」
 #はやおき訳 
   (3/4)
「さいわい、成田という外科医が来ていた。
『命は助かるか』
と尋ねたら、難しいことを言うから、まず息子をひどく叱ってやった。それで気がしっかりしたようだったから、駕籠で家まで連れて帰った。」