人はサディストとして生まれ、人生によりマゾに転んでいく、という、含蓄があるんだかないんだかわからないけど堂々たる断言、あまりにも力強い。でも、実際そうなのかもしれない説得力もある。
kindleで読んでて驚いたのだが、おそらく底本にはなかったであろう箇所で『シンドラーのリスト』みたいな、モノクロの中で血だけ赤い演出が増えてる。元原稿がこうだったのか?と思ったけど、明らかにデジタル彩色した感じの赤なんだよな……90年代半ばの漫画で元がデジタルなわけもなく、謎。
レストランの多店舗展開、店を任されることになった主人公、という王道的な展開から「職人的な世界の産業化とは部分的な下位互換を複数人連携させることにより名匠の再現を確立させることである」とかなりシビアな産業論を打ってくるの、すごい。なかなか言えないよ、こういうの。
基本的に、地味巨乳女教師がコスプレ衣装を着る→衆人環視で辱めを受ける妄想をする、の繰り返ししかないのだが、妄想の中でかけられるセリフがことごとくちんちん亭の竿役おじさんみたいなセンスなの何なんだ。これがジャンプ作家のセリフ回しか?
ずっと空を飛び続ける竜が神仏のような扱いを受けてる設定なのだが、その尊称に「皇」をつけたり、竜の名前が「艮真朱剣尊(ごんのまそほのつるぎのみこと)」だったり、高倍率の望遠鏡で姿を直接見ると「不敬罪」で刑に処されたり、隠すことなく天皇をベースにしてるので、果敢さにビビる。
こういう温度感のギャグが好きなんですが、このレベルの世界観のキャラにはしばしば(この人たちには日常の選択肢にセックスがあるんだ……)と思わされるのでしばしば脳が破壊されそうになる。
去勢とロボトミーを同時に施されたとしか思えない主人公に対して、ひたすらにのあ先輩が思わせぶりなことをやり、周りから恋愛を半ば推奨され、頭おかしくなっちゃうよ!! 1巻のこれに本格的に肉薄してきている!! 気が狂うって!
しれっとこういうのが出てくるのがいい。原理についてちょっと考え込まないといけない部分はあったりするけど、インパクトある。
マジでそうなんだよな(でもやっていくしかないんだよな)とすごい頷いてしまった。結局、ギャンブルのゲーム的な詰めの甘さはあっても、この漫画のこういう言葉の力強さに引っ張られて読んでる気がする。