『十十虫は夢を見る』第９巻より、松屋颪（おろし）の説明。 当時の「高層ビル」だった松屋周辺にはビル風が吹きました。 スカートを捲り上げるこのビル風を松屋颪と称したのです。

大正時代に米騒動をきっかけにして生まれた簡易食堂で提供されていたご飯は、１合５勺の「丼飯」でした。 https://bit.ly/2IUFdIv  これは吉野家のどんぶり山盛りに相当します。つまり、「風立ちぬ」のような、吉野家なみの大きさのどんぶりが、大正時代には存在していたのです。

昭和３年５月２３日から、時事新報の家庭面にレストラン批評記事「食堂巡り」が不定期連載されました。 ６月２０日、９回目の連載記事で取り上げられたのは、日本橋三越百貨店本店食堂です。

精力素「エレクチン」！？

幸楽の上野山下橋支店二楽は「トタン板一枚の青天井の下」で牛丼。 上野広小路鳥鍋は「天幕（テント）張り」で牛めし。 浅草の世界カフェーは「天幕（テント）張り」。 銀座寿司清周囲の飲食店は「荒板のバラック」で一膳めし

玉子豆腐の項では、”玉子は非常に味の素と合う食品”と、やはり玉子と化学調味料の相性を強調しています。

明治４４年の「新苦学職業学校案内」（苦学研究会編）に至っては、焼鳥は豚の臓物を使うとあります。 鳥の臓物は値段が高く、牛馬は焼鳥に適さないからだといいます。

”じつは昭和初期に早くも無産労働者階級のための「定番商品」となっていたのである。現在の「デンキプラン」はアルコール分の弱い別製品である。”（東京の下層社会　紀田順一郎）

これは昭和５年の銀座地図。 富士アイスは交差点を挟んで松屋の斜向いにあります。 ここの二階は絶好のパンチラ鑑賞スポットだったわけです。

朝日新聞東京版９月１７日には、東京各地の飲食店が商売している様を報じる記事があります。椽臺とは木の板の台のことです。 ここでも他の資料と同じように、ラーメン（支那そば）は登場しません。

神楽坂ではご祝儀を値下げして、客の負担を大幅に減らそうとしました。

”日比谷公園のなかに、新らしい町が出現したと言うと、まさかと思われる方が多いと思うが、震災のあと実際に小さいながら一つの町が誕生したのである。”