観客としてなら確実に断念していた。だが平原演劇祭において私はカメラマン役なので、ほとんどその義務感でたどり着いた。
しかしこの作品、何気にヨルさんのお仕事のシーンとかかなり血みどろの惨劇で、あれをアニメでどうするのだろうと思っていたら、構図は同じでも、やはり色彩や明暗の操作でグッと残酷さをトーンダウンさせていたな。原作を知らなければ、そんなものだろうと思うレベル。
しかしこの漫画の本質は、そこではない。青春ものは青春ものでも、むしろ描かれるのは「青春の愚かさ」であり、「なぜ自分はあの時そうしなかったのか/できなかったのか」という後悔の念。総じて言うなら、この漫画全編を覆っているテーマは「喪失」である。