中盤までの美和のキャラは相当エキセントリックで、落ち込む宙を励ます為‥の域を越えた危険行為!サイボーグの宙より君が無事なのが凄いよ!
ヒミカの子供殺し等のハードな展開が有名ですが、それと同時に主役の宙と美和の関係が丁寧に描かれているんですね。感情的な美和と、次第に戦士として心を殺していく宙は本当に2人で1人。互いが互いを必要とする濃厚な関係をこの分量で1年やったらそりゃファンクラブ出来ますわ‥。
キカイダーが仲間を破壊するシーンの凄まじさ。特にこのビジンダーの眼!アンドロイドの「眼」を眼球的な大きく丸いレンズにするのでは無く、こんな風に複雑な回路にして、人間の眼のように描く悪魔の所業。これ視覚装置なのかな?本当に気持ち悪い配置。角度が変わるとただの機械にも見える。
そういえば、前からずっと思ってるんだけど「のび太の魔界大冒険」にはやっぱりクトゥルー神話風味を感じるのよね。悪魔は宇宙の超生物で過去に地球を退去したけれど、再び来襲した時にはもう阻めないだろうという絶望とか、異界の知識を遺した書物とか‥研究者も襲撃されるし。
ラストで回帰篇のさやかは捕食者として獲物を待ち、強く生きようとしているように見える。それは一人の少女の決意として理解できる。しかし怪奇篇のさやかは永遠に永久に一緒に居てくれる相手を待つ。それは喰らう事よりも恐ろしい思考ではないか。同じ「蜘蛛」からこうも違う少女を語れるのが凄い。
そしてダイモス、賢いです。妨害電波で敵機のレーダーを壊し、暗闇で彷徨うところに発光しておびき寄せて破壊する‥主人公側の戦術じゃないよ!強いんだけどカッコよさの前に怖いと思えてしまう。神にも悪魔にもなれる、というよりも神は悪魔でもある、という感じ。
「狼の星座」は昔KCスペシャルで読んだのが初めて。1巻が1番好きで繰り返し読んでたなぁ。健作少年が魔除けの為に6歳まで女の子として育てられる導入にまず引き込まれた。そして中国大陸へ渡る夢を幼くして叶えてしまう行動力。「商には利道」は今でも大事にしたい言葉。
そして「ハメルンの笛吹き」で夢幻童話篇は幕を閉じ、一旦夢幻紳士は舞台を去る。この時に彼が残した言葉がねー、これは「花火」のあの言葉の続きですよ。
夢幻魔実也が去った時に残るもの、それに私達は数十年ずっと執心しているのだ。
「ばるぼら」で失ってはいけないものを失い彷徨う人を徹底的に描いた後に、無数の試練や苦悩を経てもただ一つ傍らに光る小さな星を失わなかった物語が描かれた事には確かにきっと意味が有る。