手塚治虫全集で『火の山』を読み返す。
何回読んでも良い。
昭和新山の噴火と地震を記録し保存に私財を投じた三松正夫さんにまつわる話だが、そのまま描くと単なる偉人物語になるところを、空き巣や置引きで生きている野獣のような男とコンビにするところが最高におもしろい。戦時中の暮らしの活写。
吉田戦車『ぷりぷり県』第5巻、「外伝 自販機の怪」。
腹出し師・幼次郎と姪のももえが妖怪若者とっかえ小僧と対決する 。
「とっかえ」が人間の死と再誕を思わせ、同時に地方(滅びゆく)と地方人の在りかたについて考えさせる。
傑作エピソード。
俺も幼次郎のような男でいたい。