小玉ユキ先生『波の上の月』。
人間と人魚の心の交流を描いた短編集『光の海』収録作。
同性に対して我が身が滅んでも構わない程の熱烈な恋をする人魚の男の子と、同じ想いを抱きつつも口にせなまま大人になった人間の女性。
人魚に心を揺さぶられ、最後に言えなかった一言を口にする社会人百合。
節子さんの科白。
「雪乃はかわいいから…女の子だから……いつか当たり前に気になる男の子ができて……セックスして……」
「でも、そのうえで私を……私を選んでほしいってそう思って……」
がとても切実で泣けてしまいます。
この"体"と"心"の関係について、
フィール・ヤングで連載されている『夢の端々』においても、貴代子とミツが役割期待を演じる様子が描かれていて発売がとても楽しみです。
「結婚なんて一生しない。だからあなたもしないで」
「………うん」
の会話で浮かび上がる主客の結び付きなどとても素敵。
スクエニの知り合いに言われたので。
下神木るこ『海も川もないので女子高で釣りしてみた』。
釣りキチ女子高教師が、海も川も近くにないので魚の代わりに女子生徒を釣るというギャグ漫画です。
ぶっ飛んだ先生を好きになってしまった女子高生・ちまの健気な姿がいとおしくなる一冊。
峯田和伸さんの言葉を借りると"遠くにあった絶望が俺たちの世代ではすぐそこまで来ている"というような日常に侵攻してくる絶望。
それにどう抗うかという10年代以降の文脈において、誰よりも身近で見守り命をも投げ出すというルバの回答は時代性もあってとても素敵に見えます。
初めて前列に立ったゆめ莉の目に映ったのはそれまで見ることの出来なかったファンの表情。
そして初めて前列に立ったゆめ莉に対してファンも新たな発見をする。
ゆめ莉とそれを取り巻くコミュニティー。
アイドル現場ならではの輝きに溢れたシーンなのですが、
人見知りの転校生と天然水泳部員の学生百合『夜と海』の郷本先生が描いた社会人百合が読めたのも個人的にはとても嬉しい。
厳しい先輩OLの冴島さんと、後輩OL真山さんの関係は一筋縄ではいかないものがあって素敵でした。
宝塚受験に失敗したことで「自分が誰にも必要とされていない」ように感じて立ち止まってしまう朝顔が、通っていたバレエ教室の先生に請われてこれから宝塚を目指そうとするくるみを見てあげることになるお話。
次第に距離を縮めていく中でくるみの存在に支えられる部分もありつつ、それでもなお
幼馴染みながらいつしか距離の離れてしまった二人が、ある一言をきっかけに時間を飛び越えて心を近づけていくシーンが、『青い花』の1話を思い出すような素晴らしい百合です。
(時間や空間といった道理すらねじ曲げてしまうような女性同士の結び付きが個人的に好きです)
https://t.co/PJUe9RWN9Q