表題作『セイキマツブルー』の主人公・高坂と遠峰の間にある溝は、魚喃キリコ先生『blue』において桐島と遠藤の間に生れた溝と成り立ちにおいて類似性を持ったものなのですが、『blue』では可視化されなかったそれが『セイキマツブルー』では形をもった不気味なものとして高坂にも読者にも見えてくる。
知人から「いい姉妹百合があるよ!」と教えてもらった芥見下々先生『呪術廻戦』最新話。
自由に生きる姉の真希とそんな姉を恨みつつ「どうして自分と一緒に落ちぶれてくれなかったのか」と複雑な想いをいだく妹の真依。
割りきることができない感情描写が素敵です。
郷本先生『被写体依存』(『シロップ secret-禁断×百合アンソロジー』収録)。
女優を引退し家庭に入った人妻と、彼女が夫と出会う前からその写真を撮り続けるカメラマンとの人妻不倫百合。
不誠実なことを自覚しながら関係を続ける二人の飄々としたやり取りの中にある強い執着が素敵です。
元ゲーム会社勤務の無職社会人・ちよと大家の少女がおりなす同居百合。
宮原都先生『一度だけでも、後悔してます。』最新話。
風邪をひいたちよを大家さんが看病する回でしたが、熱によって無防備になったちよの表情に普段は大人びている大屋さんが頬を赤らめる描写がとても素敵でした。
恋がわからない主人公と生徒会長の物語。
その後の展開は全く違いますが、どちらもアニメ化された百合作品。
恋がわからないことへの今の読者の共感といったことなどを29日のイベントでは掘り下げたり掘り下げなかったりする予定です。
主人公の真由美は人見知りで大人しいタイプ。
対する凛は人との距離が近いヤンキー。
真由美は当初凛に対して苦手意識を持ちますが、
「あたしが友達になってやるから」
と凛に言われて以降、誰とでも分け隔てなく接する凛の優しさを知って彼女への信頼を深めていきます。
藤本タツキ先生『チェンソーマン』最新話。
クァンシ様のセリフがとても素敵。
南Q太先生の『あたしの女に手を出すな』を思い出してしまいました。
前回の百合文壇バーは『あの娘にキスと白百合を』特集でした。
個人的には登場人物の心境の変化が丁寧に描かれているのが作品の魅力の一つかと思っています。
高校生活という限られた時間の中で登場人物が成長していく。
それゆえにいつかは必ず終わるその時間がなおさらいとおしくなる、そんな作品。
古宮海先生『可哀想にね、元気くん。』
単行本にはまだなっていないのですが、社交的な愛想笑いの奥に嗜虐的な顔を持つ謎めいたヒロイン・鷺沢守の過去が語られるくだりがとても素敵でした。