周りの目が気になりすぎるあまり学友と適切な距離が取れずぼっちになってしまう女子高生を描く高畑弓先生『死なないで!明日川さん』。
連載最新話で明日川さんの友人・るなが登場するのですが、るなの前では自意識過剰がなりをひそめ自然体でいられる明日川さんにほっこりしました。
かつて、誰より近くにいた陽芽と仲違いをしてしまった経験から、誰も傷つけない優しい自分になりたいともがいてきた美月の姿が描かれるシーンがとても素敵。
真面目な性格ゆえに外面を取り繕えず孤立しがちな彼女にとって、最初に手を差しのべて陽芽がいかに大切な存在かが改めてわかり切ないです。
幼馴染みながらいつしか距離の離れてしまった二人が、ある一言をきっかけに時間を飛び越えて心を近づけていくシーンが、『青い花』の1話を思い出すような素晴らしい百合です。
(時間や空間といった道理すらねじ曲げてしまうような女性同士の結び付きが個人的に好きです)
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八咫烏杯受賞作、空葉蒼先生『ゆめの帰り道』。
大人びていく友人たちに合わせて胸の内に自身の感情をしまいこんだ少女が、しまいこんだはずのその感情を抱き締めてくれる同い年の少女に巡り合う瞬間を幻想的に描いた。
自分を肯定してくれる存在に巡り合うことが何よりも嬉しいという
谷川史子先生『おひとり様物語』2巻第12話の
「愛してんだ」
の一言を見て、同棲していた部屋を飛び出し子供を作って帰ってきたまるで生活力のないかつての恋人をそれでも
「大好き」
だと心の底から口にする鳥野しの先生『オハナホロホロ』を思い出しました。泣ける。
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志村貴子先生『ビューティフルエブリデイ』第9話があまりにも素晴らしかったので……。
可愛いあの娘の一番の親友は私。
そんな、他の誰にも見せない顔を私だけが知っていることにアイデンティティーを見いだしながら、恋人にはなれないジレンマを抱えた切ない片思いの行く末が描かれていました。
『蜘蛛の巣を払う女』のサランデル姉妹。
『呪術廻戦』の禅院姉妹。
『SHY』の天王寺姉妹。
などなど。
誰よりも身近にいた姉妹ゆえの愛憎入り交じる複雑な関係性が好きです。
仲が良かったわけではなくむしろぞんざいに扱われていたはずなのに、その記憶すら甘美に思える相手との再開劇。
結婚をして夫もいる主人公が憧れの相手と再開してどうなっていくか、興味のある方はぜひご一読を。
Sal Jiang先生『白と黒~Black & White~』。
1ページ目から戦場の真っ只中で『ドロヘドロ』の1コマ目を思い出してしまった。
同期入社で能力的にも甲乙つけがたいエリート銀行員の白川ジュンコと黒田カヨが、会社の中でどう自分のポジションを築いていくのか気になります。
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映画監督の小野さやかさんがラジオのインタビューで
「カメラの前の人が本当の姿をさらけ出しているとは限らない。人に見せたい自分であったりを無意識のうちに"演じて"しまうことだってあるから」
と語っているのですが、カメラを向けるものと向けられるもの間に生まれる揺らぎの百合をやろうかと。
百合とは関係ないのですが、匡乃下キヨマサ先生が描く魚のイラストがとても素敵なので魚好きの方もぜひ。
生きているかのような光沢、躍動感を感じさせる構図、手書き(?)の解説などなどほとばしる情熱を感じること請け合いです。