キャバクラで働く女性からキャバクラで働く女性への告白。
背景に広がる繁華街の賑わいに臨場感があって好きなシーン。
百合にはならないのですが、告白された後のカヨコの感情の揺れや決断にいたるまでの起伏が高い解像度で描かれていて愛読しています。
安野モヨコ先生『ハッピー・マニア』 
   それと同時に、フィールヤング周辺作家さんには渋谷でスカウトされる『ヘルタースケルター』のこずえだったり、109の遠景から始まる『ラブ・ヴァイブス』、渋谷が舞台の『渋谷区円山町』など、渋谷文化を感じさせる作品が散見されたような気がしています。
※フィールヤング以外の作品もあります。 
   戻ってくるまでは"クラリアとして"あなたに会いに行くと告げペアイヤリングを渡すシーンが素敵。
王宮の中では仮面をつけたヒビアン王女として過ごし、市井の人々と触れ合う時は仮面を外したクラリアと名乗っていた彼女が、
「クラリアとして!」
会いに行くという言葉の持つ危うさがとても素敵。 
   11月30日発売の宇仁田ゆみ先生『宇仁田ゆみ作品集 ふかしぎ草紙』。
収録の宇仁田先生初ガールズラブ短編『モコ』が素敵。
同級生の雪ちゃんのことを好きになってしまった紅美。
隠していた想いを雪ちゃんに知られてギクシャクしてしまう二人ですが、それを越えて着地する姿がとても鮮やかです。 
   変わらないのはポジティブ感情だけでなく、16年前の二人を遠ざけた彼女の才能に対する主人公の妬みについても同様。
けれど、時を経てその才能を真正面公から見つめた主人公は、妬みは妬みとして抱えながらもそれにも増して彼女を好きになる。 
   描写の積み重ねによって時を超えた想いを画く
https://t.co/AjaRgCFPsI
といえばシギサワカヤ先生『君だけが光』も素敵。
16年ぶりに会った同級生の変わり果てた姿に言葉を失いながらも、彼女の心が当時と変わっていないことを知る。
そして自分の中にある16年前と変わらぬ想いを改めて自覚する。 
   原百合子先生『繭、纏う。』最新話。
星宮を卒業してから大好きだったの人の名前を忘れて宛名のない手紙を書く少女の話。
そんな彼女にかけられる
「髪の毛はまた伸ばさないの?」
「誰かとの繋がりが欲しいならもう一度つくってもいいんだよ」
の言葉に星宮と髪の関係が思われて鳥肌がたちました。 
   風景描写がとても素敵な作品です。
共に行ったことのない場所に行き、見たこともない景色を目にしてそれを写真に残す。
そんな胸踊る一瞬をチサトさんと一緒に迎えるミトの感動が美しい景色と共に描かれるのでご興味のある方はぜひ。 
   その花屋で店員が見立ててくれた花は、持ち主にだけ聞こえる声で話しかけ、やがてその語りかけによって持ち主が忘れていた何かを思い出すと枯れてしまう……という不思議な花を売る地図に載っていない花屋を描く平澤枝里子先生『星降る花屋』。
第6話が素敵な学生百合回でした。 
   波乱を含みつつも当たり前のように続いていく家族の時間が穏やかな分、その中にあっても忘れられない恋心の描写がとても鮮烈です。
続きがとても楽しみな志村貴子先生『おとなになっても』 
   綾乃の告白によって、夫を始めとる両家の親族が彼女の浮気を知ることとなる2巻。
戸惑い受け止めかねる夫、キスだけならとペナルティに二世帯同居を提案する義母など、様々な人物が登場し緻密な群像劇が展開しますが、綾乃含めその誰もが憎めないどこか牧歌的な様子は志村先生らしくてとても素敵です。