愛する人でもあっても演劇という同じ世界に足を踏み入れたがゆえに闘うしかない。
負けたくなければ闘うしかない。
そんなジレンマに翻弄される二人のライバル関係がとても素敵な演劇ライバル百合、有吉京子先生『アプローズ』も取り上げようかと思っています。 
   今月の #百合これ のテーマが「HOT」ということで、藤田和日郎先生『うしおととら』より幼馴染み二人の熱いシーンについて。
恋愛関係ではないのですが。
世界を救うため、幼馴染の親友・真由子の身代わりとなって燃えさかる炉に飛び込む麻子の姿が泣けます。
真由子との思い出を振り返りながら、 
   姉妹といえば。
『紫式部集』における姉妹歌
姉を亡くした紫式部と妹を亡くした友人が互いに姉妹として相手を想い合おうという契りを結んだ際の歌
や、『乙嫁語り』で描かれる姉妹妻など、二人の女性が誰よりも近い関係としての姉妹になる物語が個人的には好きです。 
   自らを俯瞰して見つめ、求められる女優像に自らを矯正することでトップ女優へと登り詰めた彼女ですが、成功を得る代わりに孤独になっていきました。 
   3月19日の百合文壇バーはカメラ百合特集。
ということで『シロップ secret 禁断×百合アンソロジー』収録の郷本先生『被写体依存』。
結婚を期に引退した元女優と、彼女がスカウトされる以前から撮り続けるカメラマンを描いた短編。
レンズを一枚隔てて成り立つ二人の距離感がとても素敵です。 
   ひなびた温泉宿で出会った二人が日本酒を飲みながら仲を深めていく、という大人百合が素敵でした。
八月薫先生のイラストはいつ見ても美しい。 
   熊田龍泉先生『それでもペンは止まらない』。
一度打ちきりにあって以来、得意なジャンルを描かせてもらえないままヒットにも恵まれず、それでも描くことを諦めない中堅漫画家・美空輝子を主人公に、未だ報われない者たちへの人間讃歌を描く物語。
周囲の人間が輝子に寄せる想いが熱くて素敵です。 
   個人的には本作で沢山描かれる食事のシーンが好きです。
年の差もあって互いに気を回しすぎるきらいも二人ですが、同じ食卓を囲んでいる時の目線がそろう感じに幸せが満ちていて癒されます。