最後の京橋エリアです（こうしてみると京橋も新橋も「橋」であったことがわかります）。 ここはアメリカ飲食店集中エリアで、明治製菓喫茶部、三共ソーダファウンテン、オリンピック、バッカスがそれにあたります。 なぜか描かれていませんが、アメリカ式中華のアスターもこの区画です。

神楽坂ではご祝儀を値下げして、客の負担を大幅に減らそうとしました。

そのそも、「田楽」という名前は何に由来するのか。 江戸中期成立の「本朝世事談綺」によると、田楽法師という曲芸師の曲芸の様が、串に刺した豆腐に似ていることから、田楽という名がついたそうです。

現代にするといくらぐらいになるのか。 いつもわたしは、『物価の文化史事典』におけるもり・かけそばの値段から、昔の物価感覚をつかみます。 当時のそばの値段は、１年前の昭和２４年で１５円。 当時は存在しなかった立ち食い蕎麦ではなく、蕎麦屋での値段です。

”背景にあるのは職住分離の傾向であり、つまりは消費の場である家庭と、生産の場である職場が機能的に分節されたことで、その中間にある盛り場や街路空間が、独特の自由や解放をもたらす空間として意味づけられるようになるのである。”

なぜか彼らは、冬になると赤毛布を羽織っていたので、赤ゲット（赤毛布）と呼ばれていました。 お上りさん＝赤ゲット向けに都会の外食店を紹介するとなると、外食店の住所や名前だけでなく、文化や用語の違いについても解説しなければなりません。

これは明治３５年の東京風俗志における牛鍋店の解説。 「割下」といっても赤ゲットにはわからないので、醤油と味醂を混ぜたものを割下というのですよ、と解説しています。 「しんこ」も東京弁なので、香物と翻訳されています。

これは『乙嫁語り』に出てくる、１９世紀中央アジアの荷車。 車軸も車輪も木製なので、時には車軸が折れて車輪が転がったりします。

実際、先程例をあげた戦前の資料には、焼鳥は下層階級の食物であると明記されています。 明治３７年の「実業の栞」では「下流の人ならでは目に止まらざる」つまり、上中流階級は無視する食物である、とあります。

明治２３年の風俗画報には、”鶏の骨を丸くして焼いたるを賣る”浅草の露店の存在が書かれていますが、この鶏の骨のたたきが、後に焼鳥へと組み込まれることとなります。

とはいえ気の利いた漫画評論などできないので食べ物の話をします。 田中角栄が世に出るきっかけとなった重要人物、大河内正敏。 漫画ではすき焼き屋に通っていた安西先……ではなく大河内正敏ですが、実際にはすき焼きが嫌いだったという話です。

そして、この手の屋台フランチャイズビジネスは、大正時代から存在していました。 大正１４年の現代職業案内（東京職業研究会 編）には、次のように書かれています。