現在の一般的な焼鳥（やきとん）屋よりも豊富な品ぞろえです。 詩人草野心平が経営していた焼鳥屋台でも、タン(舌)ハツ(心臓)フエ(喉笛)ガリ(軟骨) ガツ(胃袋)キモ(肝臓)ヒモ(腸)子袋(卵巣)などの品揃えがありました。

これが守貞漫稿による、江戸時代の京都大坂の押し寿司。卵焼きにキクラゲ、鯛かアワビをのせたものです。 これが明治中頃から大阪寿司に変わります。 単一のカラフルな具を複数詰め合わせる大阪寿司。私は大阪寿司は握り寿司の影響を受けて生まれたのではないかと推測しています。

資料上の煮込みの初出は明治７年の「東京新繁昌記初編」（服部誠一）、「東京開化繁昌誌」（萩原乙彦）ですが、いずれも人力車夫が客として登場します。 人力車夫は明治時代における下層階級の代表的な職業です。

この横浜生まれの柳麺＝支那そばを東京に広めたのが明治４３年開店の来々軒です。来々軒では広東人コックを雇っていたので、支那そばを注文すると広東語で「ラーメンイイコ」の声が響きました。

昭和７年の「三都喰べある記」において、天民は ”洋食嫌ひな私は、支那料理も餘り好物ではなく、與へられた機會以外には、別に食べようとも思はない” と、西洋料理や支那料理が苦手であると告白しています。

”大阪では、今でも古老の話に、新玉おでんというのを売りに来たと聞く。” 長谷川にとっての古老、つまり明治前半生まれの老人による、大阪のおでん売の売り声は次のようなものでした。

”車なり茶腕なり其の総べての設備から材料の調（ととの）へ方まで心配して呉れて、所謂賣子として働かせて呉れる人があるから、それに頼むのである”

「これが札幌ラーメンだ」では、本店で山東省出身の王文彩が作る肉絲麺（ロースーミェン）に対し、おかみさんがラーメン（拉麺）と名付けたというストーリーになっています。 これは「チコちゃんに叱られる!」で採用されたストーリーです

漫画『アンゴルモア　博多編』には、元寇時の博多チャイナタウンの描写があります。

明治４４年の「職業案内全書」の牛飯屋の起業方法の説明には、使用する肉は ”牛肉屋から牛肉の小間切（こまぎれ）と云ふ好くない肉を買ひ”　 とあります。

明治３５年の大阪においては、東京のおでん（煮込みおでん）は馴染みの薄い食べものであったと推測されます。 次に明治４３年発行の「無資本実行の最新実業成功法」です。

なぜ肉絲麺の名前をラーメンに変えたのか？ 「これが札幌ラーメンだ」によると、肉絲麺のことをを日本人客は支那そばと呼んでいましたが、 ”客の中には「支那そば」を、現在では言葉にできないほど中国人を蔑視した言い方をしていた客もいた”