”最近（注　1970年）、牛めしがふたたび流行しだして、サラリーマンの昼食などに人気がある。だがその味もまた、屋台のころとは全然ちがう。（中略）第一、味がひどく砂糖甘い。”

明治３８年の月刊食道楽に、本郷の牛めし屋の話が出てきます。この店には牛めしの「大丼（おほどんぶり）」があり、それは ”是は普通の牛飯を、やや大きい丼に入れたので” という大きめの丼に入れたものでした。

ラーメン屋台の起業法が書かれた震災後の本としては、大正１４年の現代職業案内（東京職業研究会 編）が、私の把握している中では最古の本です。 大正１４年には、製麺業が復活し、ラーメン屋台も再建されていたのでしょう。

この福神漬＝チャツネ代用説というデマの出処は二ケ所あります。一つは、日本郵船の広報。 小菅桂子さんは「カレーライスの誕生」で日本郵船を取材します。 ”かつて日本郵船の広報室に問い合わせたところ、確かにきっかけは日本郵船の一等食堂である、との答えを得たことがある。”

「旭川＜百年＞ラーメン物語」は北海道の蕎麦屋の歴史から説き起こされるのですが（あいかわらず凝ってらっしゃる）、北海道の蕎麦屋って小樽から始まるんですね。 そういやゴールデンカムイにも、小樽の蕎麦屋が登場していました。

これは『乙嫁語り』に出てくる、１９世紀中央アジアの荷車。 車軸も車輪も木製なので、時には車軸が折れて車輪が転がったりします。

『物価の文化史事典』によると昭和９年のもりそばの値段が同じく１０銭。 立ち食い蕎麦ではなく、蕎麦屋で食べるもりそばです。 ちなみに東京における現在の平均価格は６００円前後（品目２１０３） https://t.co/q2GxKn0uTu

次に値段が高い方の焼鳥屋台 ”同じ焼鳥屋のなかでも、もう少し上等なのがある。そこでは、鶏肉や小鳥を焼いている。モツヤキ、鶏肉、雀、鶉、そのほか小鳥類ならなんでもあると自慢している。それには、各五銭、十銭、廿銭の札が皿に出ている。”

収集した資料の中で居酒屋で煮込みを出す事例は２つだけ。その一つが大正３年の「人生探訪変装記」。 やはり場所は深川、しかも深川のなかでも貧民窟として有名な場所です。

雑誌実業之日本明治４４年９月号によると、オープンしたてのカフェーライオンの前には、女給をひと目見ようと男たちがたかっていたそうです。

大正１４年の「東京市」の支那料理店は５２３軒。東京を代表する天ぷら屋（２９１軒）よりも数が大きくなっています。

民俗学者柳田国男は、昭和６年に発行された「明治大正史第四巻世相篇」において、お好み焼きの誕生経緯について述べています。”子供を相手の擔（にな）ひ商ひの方でも飴や新粉の細工物は通りこして、御好み焼などといふ一品料理の眞似（まね）事が、現に東京だけでも数十人の専門家を生活させて居る”