『前科者』(香川まさひと×月島冬二)第10巻。香川さんの作品は、いつもマンガの形式をした実写映像作品。私自身は文章でで音楽を奏でるように、そしてそれがマンガのような質感で受容されるように、と思って書くから、このような超メディア的創作法には好奇心をそそられる。
どなたか「〈驚きのあまり目玉が飛びでる〉マンガ表現」について、マニアックな資料まで博捜しつつ、詳しく研究していないかな。 https://t.co/AAQb8aMCPT
母は解離性同一性障害を患っていてカルト宗教信者だった、父は統合失調症を病んで餓死したと設定されていて、主人公にも遺伝的/遺産的にその困難が訪れる。
基本的におもしろく観たものの、「世間では発狂とかカルト信仰とかいうのが非常に怖い要素なんだな」という冷めた感慨もある。現在の私は
直野祥子『毛糸のズボン──直野祥子トラウマ少女漫画全集』(ちくま文庫)。私はレトロな少女マンガや怪奇マンガに詳しいと自負しているので、この作者の絵柄や作風の孤立性に驚いた。併録された「自作解説」で、少しその謎が解けたにせよ。斎藤真理子さんや頭木弘樹さんが関係者なのも驚きのひとつ。
じつはそれに先立って、『発達界隈通信──ぼくたちは障害と脳の多様性を生きてます』(教育評論社)のジャケットにおねがいしようかなと思ってた時期もあります。この画像は私が考えたデザインラフ。
なお参考書として横道誠『唯が行く!──当事者研究とオープンダイアローグ奮闘記』(金剛出版、2022年)をあげておきます。自助グループで当事者研究やオープンダイアローグを実践する方法について紹介した本です。ただし同書を読んでいないとしても、イベントへの参加に支障はありません。
さりげない描写だが、主人公が合コンでうまくやってるところ、同席した女友達が応援気分でいるいるのが良い。この手の描写があるとき、だいたい女友達は「嫉妬しているうざい背景」にされてしまうのが、婚活パーティ場面の定番だから。
主人公の母親、狂気の描き方が「昔ながらのベタな狂人」なわけだが(主人公が遺伝を恐れており、統合失調症が念頭に置かれていると思われる。実際には精神疾患はそうでなくても遺伝しやすいけど)、表現の自主規制によって狂気が描かれにくくなった現在は、べつの意味で問題があるのだろうか?
このまえ香川さんと初めてお会いして、海の幸が盛りだくさんの街で寿司などをたっぷり奢ってもらった。こだわりなくパクパク食べたけど、もらった『辛辣なるグルメ』(香川まさひと×若狭星)を読むと、寿司を食べる順番が第1話のテーマで、ヒヤリとする。付録が香川さんのエッセイで、ここではニヤリ。