『牌は泣いている』おくだたつお
(別冊リイドコミック 1975.8)
もし雀牌が意思を持ち、動く事が出来たなら。。
そんな冗談としか思えない漫画を笑い飛ばす事は容易いが、それは余りに勿体ないというもの。
何故ならこの短い漫画には人生が見事に描かれているからだ。
読み終えた時に俺は涙した。
『サザエさま』
(東京25時 1970 9-10合併号)
原案テディ片岡(片岡義男)、作画木崎しょう平(フジオプロ)により発表された本作。
これが作者の知る所となり、姉妹社は同誌を提訴。編集長の奥成達氏は当初抗戦の意思を示すも、結局は示談金(50万円)を払い決着。同誌も1971年に廃刊となる結末に。
聖レイ先生の残虐描写は何か癖になる。「猟官変質者」のこれとか完全に狂ってますよね。
普通のエロ作品に突然こういうのをぶっ込んで来るから読んでいても気が抜けない。
『人形の呼ぶ声』杉本啓子
ホラー色の強い作品集だが、中でも出色は6Pの小品「冷蔵庫」。
かくれんぼをしていた少年が空き地にあった冷蔵庫の中に閉じ込められてしまい、不安と恐れに慄く中突然始まるジャンケン。
言い知れぬ後味の悪さが残る。
この6Pの為だけに買っても損はしないと言い切れる。
『都市ゲリラ狂程〜団地ジャック編』長谷邦夫とフジオ・プロ連合軍(漫画サンデー 1972.4.15)
あさま山荘事件の余韻も冷めやらぬ中、とんでもない漫画が発表されていた。
電気屋のおっさん達が団地を舞台に巻き起こす武装闘争は××の作り方(載せられません)もご丁寧に解説。良く出したな、これ。。
『闇のメルヘン』杉本啓子
誰も悪い訳ではないのに幸せになれない世界とは残酷であり、
そんな世界で生きるには諦めるか空想するしかない。
断絶した少女達の脳内メルヘンは甘美とは程遠く読後は侘しさのみが残るが、それは絶望とも又異なった種類の物だ。
本当に素晴らしい漫画でした。